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HR×事業 | | 10分で読めます

営業×マーケ連携──リード獲得から受注の仕組み化

営業×マーケ連携──リード獲得から受注の仕組み化

はじめに

「マーケティングが獲得したリードを営業がフォローしない」「営業が求めるリードとマーケティングが集めるリードにズレがある」。この記事では、営業とマーケティングの連携を仕組みとして構築し、リード獲得から受注までの一貫したプロセスを作る方法を解説します。両部門の分断を放置したまま個別に最適化を進めても、全体の受注率は改善しません。

MK2が営業組織の支援やインキュベーション事業に携わる中で繰り返し見てきたのは、 マーケと営業の「接続点」が設計されていないために、せっかくのリードが無駄になるケース です。部門ごとのKPIが分断されていれば、マーケはリード数を、営業は受注額だけを追いかけ、両者の間に落ちるリードが大量に発生します。

この記事のポイント

  • 営業とマーケの分断は「組織構造」の問題であり、個人の努力では解消しない
  • リードの定義・スコアリング・引き渡し基準の明文化が連携の第一歩
  • 共通KPIと定期レビューの仕組みが、持続的な連携を支える

なぜ営業とマーケティングは分断するのか

なぜ営業とマーケティングは分断するのか

営業とマーケティングの分断は、多くの企業で「あるある」として語られますが、その根本原因は組織設計にあります。両部門が別々のKPIを追い、別々の上長にレポートし、別々の会議体で意思決定している限り、連携は属人的な関係性に依存し続けます。

1-1. 分断が生まれる3つの構造的原因

営業とマーケティングが噛み合わない原因は、大きく3つに分類できます。

  1. KPIの断絶 -- マーケは「リード獲得数」「サイト流入数」を追い、営業は「受注額」「商談数」を追う。両者の間に共通指標がない
  2. リード定義の不一致 -- マーケが「リード」と呼ぶものと、営業が「見込み客」と認識するものが異なる
  3. 情報共有の仕組みがない -- マーケが把握している顧客の行動データ(資料DL・セミナー参加等)が営業に伝わらない

1-2. 「従来型」と「連携型」の違い

従来型の分業体制と、営業×マーケ連携型の組織では、プロセス全体の設計思想が異なります。

項目 従来型(分業) 連携型(一体運用)
リード定義 各部門が独自に定義 共通のスコアリング基準で統一
KPI設計 部門別に個別設定 ファネル全体の共通KPIを設定
情報共有 月次報告のみ CRM上でリアルタイム共有
リード引き渡し 暗黙的・属人的 SLA(引き渡し基準)を明文化
振り返り 部門内で個別実施 営業×マーケ合同で定期レビュー

営業改革の構造的アプローチでも触れたように、営業側の課題だけを見ていては本質的な改善にはつながりません。マーケティングとの接続を含めた全体設計が不可欠です。

1-3. 分断のコストは想像以上に大きい

採用現場の実感として、営業×マーケの分断が深刻な企業では、マーケが獲得したリードの 40〜60%が営業にフォローされないまま放置 されています。この「サイレントロス」は、広告費やコンテンツ制作費の大きな無駄につながっています。

リードの定義とスコアリングを共通化する

リードの定義とスコアリングを共通化する

連携の出発点は、「どのような状態の見込み客を、いつ営業に引き渡すか」を両部門で合意することです。これがなければ、マーケは「渡したのにフォローされない」、営業は「質の低いリードばかり来る」という不毛な対立が続きます。

2-1. MQL・SQLの定義を明文化する

リードの段階を明確に定義し、各段階の移行条件を設定します。

  1. リード(Lead) -- 氏名・連絡先が判明した見込み客
  2. MQL(Marketing Qualified Lead) -- マーケティング施策に複数回反応し、一定のスコアに達したリード
  3. SQL(Sales Qualified Lead) -- 営業がヒアリングを行い、具体的な課題・予算・導入時期が確認できたリード

この定義は、営業とマーケの責任者が共同で策定し、四半期ごとに見直すことが重要です。営業KPIの設計と合わせて運用することで、ファネル全体の精度が向上します。

2-2. スコアリングの設計と運用

リードスコアリングでは、属性情報(企業規模・役職・業種)と行動情報(資料DL・セミナー参加・ページ閲覧)を組み合わせて点数化します。MK2の支援先では、以下のような配点設計がよく使われます。

  • 役職が部長以上 : +20点
  • サービスページを3回以上閲覧 : +15点
  • 資料ダウンロード : +10点
  • セミナー参加 : +15点
  • 問い合わせフォーム送信 : +30点

合計50点以上をMQLとし、営業に引き渡す基準として運用します。スコアリングの閾値は、実際の受注データを基に定期的にチューニングすることが欠かせません。

2-3. SLA(サービスレベルアグリーメント)の締結

MQLが発生してから営業が初回コンタクトを取るまでの時間を 24時間以内 と定め、これをSLAとして明文化します。引き渡し後のフォロー状況をCRM上でトラッキングし、SLA達成率を両部門の共通KPIに含めることで、「渡しっぱなし」を防ぎます。

ファネル全体を一気通貫で管理する仕組み

ファネル全体を一気通貫で管理する仕組み

リードの定義が共通化されたら、次はファネル全体を一つの管理基盤で運用する仕組みを構築します。

3-1. 共通ダッシュボードの構築

営業とマーケティングが同じデータを見て会話できる環境が連携の土台です。CRMやMAツールの導入そのものが目的ではなく、 両部門が同じファネルデータを見て「次に何をすべきか」を議論できる状態 を作ることが目的です。

ダッシュボードに必ず含めるべき指標は以下の通りです。

  1. リード獲得数(チャネル別)
  2. MQL転換率
  3. MQL→SQL転換率
  4. 商談化率・受注率
  5. リードタイム(リード獲得→受注までの平均日数)

3-2. 営業×マーケ合同レビューの運用

週次または隔週で、営業マネージャーとマーケティング責任者が合同レビューを実施します。議題は以下に絞ります。

  • MQLの質に関する営業からのフィードバック
  • SLA達成率の確認
  • パイプラインのボトルネック特定
  • 次週の施策調整

統合経営支援の現場でも、この合同レビューの有無が成果に直結するケースを多く見てきました。

3-3. コンテンツの共同企画

マーケティングが制作するコンテンツ(ホワイトペーパー・事例記事・セミナーテーマ)を、営業の商談現場のニーズに基づいて企画することで、リードの質が大幅に向上します。営業が「顧客からよく聞かれる質問」「失注理由として多いテーマ」をマーケに共有し、それをコンテンツに反映させる仕組みを作りましょう。

連携を定着させる組織設計のポイント

連携を定着させる組織設計のポイント

仕組みを作っても、組織構造が分断されたままでは連携は形骸化します。持続的な営業×マーケ連携を実現するためには、組織設計そのものに手を入れる必要があります。

4-1. レベニューチームの設置

先進的な企業では、営業・マーケティング・カスタマーサクセスを横断する「レベニューチーム」を設置し、CRO(Chief Revenue Officer)やそれに相当する役割が統括するモデルが増えています。全部門が「売上創出」という共通目標の下で協働する体制を作ることが、分断解消の最も本質的な打ち手です。

4-2. 共通KPIと評価制度への反映

部門別のKPIに加えて、ファネル全体の転換率や受注貢献額を共通KPIとして設定します。MK2がインキュベーション事業で新規事業立ち上げを支援する際にも、営業とマーケの共通KPIが設計されている組織は、立ち上げスピードが明らかに速いことを実感しています。新規事業の立ち上げにおいても、この連携基盤があるかどうかが成否を分けます。

4-3. 人事ローテーションと相互理解

営業経験者をマーケティング部門に、マーケ経験者を営業部門に一定期間配置するローテーションは、相互理解を深める有効な手段です。「相手の仕事の大変さ」を体感することで、連携の質が本質的に変わります。インキュベーション事業の支援先でも、この人材交流が組織の一体感を生む事例を見てきました。

よくある質問

Q. 小規模な組織でもマーケと営業の連携は必要ですか?

必要です。むしろ小規模な組織のほうが、少ないリードを確実に受注につなげることが重要であり、連携の効果が大きく出ます。専任のマーケティング担当がいない場合でも、「誰がリードを獲得し、誰がフォローするか」の役割分担を明確にしておくだけで成果が変わります。

Q. CRMやMAツールの導入は必須ですか?

ツール導入は手段であり、必須ではありません。まずはスプレッドシートでリード管理を始め、リードの定義・引き渡し基準・振り返りの運用を回すことが先決です。運用が定着してからツールを導入するほうが、定着率も高くなります。

Q. 営業がマーケ施策に協力してくれません。どうすればよいですか?

営業が協力しない原因の多くは、「マーケ施策が自分の数字にどう貢献するか」が見えていないことにあります。マーケ施策経由のリードが受注にどれだけ貢献しているかのデータを示し、営業にとっての具体的なメリットを可視化することが第一歩です。

まとめ

営業とマーケティングの連携は、個人の頑張りや部門間の「仲の良さ」で解決する問題ではありません。リードの定義を共通化し、スコアリングとSLAで引き渡しを仕組み化し、共通KPIで成果を測る。この一連のプロセスを組織設計として構築することが、リード獲得から受注までの一気通貫を実現する鍵です。

MK2(エムケーツー)では、営業組織の構造改革からマーケティングとの連携設計、さらにはインキュベーション事業を通じた新規事業の営業体制構築まで、一貫した支援を行っています。「営業とマーケの連携がうまくいかない」「リードはあるのに受注につながらない」とお感じの方は、まずはお気軽にお問い合わせください。

WRITTEN BY

森川 太輔

エムケーツー株式会社 代表取締役

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